多汗症治療の保険適用について知っておいた方がいい3つのコト
多汗症は、ひとつの症状である事は過去の記事でもご紹介しました。
単にひとつの症状といえども、日常生活に影響を及ぼすほどならば
「治療したい」「保険適用になるのか」という点はとても気になるところです。
では、どのようなケースが治療に対する保険適用の範囲になるのか、
一般的に多汗症治療の対象となるケースはどういったものなのか、少し考えてみたいと思います。
1.まずは「汗が多いだけなのか」「病気から来ているのか」を見分ける
単に汗が多いだけなのか、表には見えづらい病気から来ているものなのか、
という大きな判断ポイントがあります。
内分泌や代謝性の病気、膠原病(こうげんびょう)、悪性腫瘍や中枢神経疾患などから
引き起こされる多汗症もあります。
こういった場合でしたら、汗そのものを止めるのではなく、
このような原因となる病気の治療を先に行わなくてはなりません。
体内で起きているこの汗のモトとなるものに気づかず手当てをしなければ、
汗を止めるどころかさらに深刻な状況を招いてしまうでしょう。
かかりつけ医としている病院はありますか?
あまりにもひどい汗をかくようになったら、
まずは日頃の体調を知ってくれているかかりつけ医に相談をしてみてください。
2.多汗症は3つのステージに分けられる
病気からくる汗でなければ、多汗症の治療へと誘導されるでしょう。
実際に治療をしましょう、と言われるのは「重症で日常生活に支障をきたすレベル」。
では、どのように分類されているのでしょうか。
手の汗を例にとってみましょう。
レベル1;手が湿っている程度。触ると汗ばんでいることがわかる。
レベル2;手に水滴ができて濡れていることが目で見てもわかる。
レベル3;水滴ができ、汗が滴り落ちるほど。
レベル3ともなると、さすがに「今すぐにでも治療したい!」と思うことでしょう。
通常、この「保険適用=重症」はこのレベル3であることがほとんどです。
でも、どのような治療法があるのでしょうか。
保険適用などの費用の面を含め、今現在広く行われている治療の現状を見てみましょう。
3.治療法の種類とそれぞれのメリット・デメリット
【ボツリヌス毒素皮内注射治療】
2012年11月から保険適用が可能になったボツリヌス毒素皮内注射治療(ボトックス注射)は、重度の原発性腋窩多汗症(常にわきの下に大量の汗をかいている)が対象です。
発汗を促すアセチルコリンの働きを抑えることで、汗の抑制を狙います。
効果の持続期間は、長くて半年とも言われますので、保険適用とされれば夏前に注射をしてもらうのがよいでしょう。
自己負担額は3万円前後、自費医療の場合は10万円前後です。
【エクリン腺切除法】
汗を分泌するエクリン腺を手術によって除去する方法。
重度と診断され、なおかつ保険適用となっても「できれば避けたい」と思われる手術かもしれません。
切除する範囲が広いことから、療養期間が長期にわたったり、傷跡のひきつれが生じたりするケースもあるようです。
【交感神経遮断術(交感神経ブロック)】
特に手のひらの汗の治療法として採用されることのある手術法です。
ほぼ100%の確率で、他の部位での汗を発するようになるため、充分にインフォームドコンセント(治療行為に対する説明が十分で患者もそれを理解し、医療従事者・患者相互に合意を形成する事)を行ってくれる医療機関を探してください。
特に全身麻酔を必要とする施術であるために、お医者さんも慎重になっている方法のようです。
【イオントフォレーシス】
特に手足を中心に行う療法。
微弱な電流を流している水に手足を浸けることで、汗腺の働きを抑えることを目的とします。
保険適用となれば1回1000円程度~で治療を受けることができますが、効果が表れ始めるまでに繰り返し通院が必要です。
通院を続けなければならない面倒な治療法ではありますが、一方で副作用がほとんどない事は安心材料とも言えます。
微弱とはいえ電流を利用しますから、ペースメーカーやICDなどを埋め込みしている方には向きません。
まずは気軽にできることから試してみて
汗には悩んでいるけれど、まだ治療という程では…という方でしたら、
まずは自分の体質に合った制汗剤を活用することがよさそうです。
もちろん、気付かない体の不調をきちんとチェックしてくださいね。
体のトラブルに起因しない汗でしたら、程度により医療機関での
保険適用多汗症治療を検討するなり、効果のある制汗剤を探すなりの手立てはあります。
爽やかな毎日を送るためには、何事にも「ほどほど」が大事。
いくら体温調節のためとはいえ、異常なほどの汗は、自分自身の心理的な面にも影響を及ぼします。
できることからやってみる、という選択肢もあるということを覚えていて頂ければと思います。
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